Coffee and Contemplation

海外ドラマや映画、使われている音楽のことなど。日本未公開作品も。

ここ一年ちょっとくらいで観た(ほぼ)新作ラブコメ17本の感想まとめ

  1. Happiest Season(ハピエスト・ホリデー 私たちのカミングアウト)

クリスマスに一緒に帰省してと恋人のハーパー(マッケンジーデイビス)に頼まれてついて来たアビー(クリステン・スチュワート)だったが、ハーパーは家族にまだレズビアンであることを話していないことが発覚、田舎の保守的なハーパーの家族からマイクロどころでないアグレッションを受け続ける…。
 
夢かってくらいめちゃくちゃ可愛いカップルなのに、ハーパーの家族がキツすぎる上にハーパーからもあまり守ってもらえないアビーが可哀そうすぎて、とてもすんなりは受け入れられなかった問題作。ハーパーのどこがいいんだアビー!!ライリー(オーブリー・プラザ)に乗り換えろ!!と思ったのは私だけではないはず。
 
でも後から振り返ると、やはり一流キャストに一流クルーの演技や撮影の安定感が半端ない。そして監督クレア・デュバルの物語だったんだな、「これは私の物語だ」と思える人がほかにもいるんだなといろいろな人の感想を観て気づくと、この作品が作られて良かったなと思う。
 
ジョン(ダニエル・レヴィ)がいわゆる都合の良いG.B.F.(ゲイ・ベスト・フレンド)だったのは、ゲイとレズビアンだって連帯するんだぞ〜!!というメッセージでしょう。
 
  1. The Broken Hearts Gallery(ブロークン・ハート・ギャラリー)

売出し中のジェラルディン・ヴィスワナサン×『Stranger Things(ストレンジャー・シングス)』のデイカー・モンゴメリー。ジェラルディン演じるルーシーが天真爛漫系なのに対してデイカー演じるニックはふつうにいい人すぎて、お調子者のニックの親友マルコス(アルトゥーロ・カストロ)の方が既婚者だけどもしかしたら相性いいのではと思ってしまった。
 
恋人未満状態だけど躊躇いなくめちゃくちゃ仲良くする2人の可愛さがハイライトなだけに、プロットが雑でところどころcheesyすぎて入り込めなかったのがもったいない。意識する素振りすら見せないところから一気に関係が進むので、もう少し丁寧にやってほしかった。
 
そしてそもそも論になってしまうけど、ルーシーが企画する表題のブロークン・ハート・ギャラリー(過去の交際の遺物を集めたギャラリー)という発想がダサい。
 
頼もしい主人公の親友役は『Booksmart(ブックスマート)』のモリー・ゴードンと『Hamilton(ハミルトン)』のフィリッパ・スー。自分を傷つけた男に対して敵意むき出しになってくれる友達は最高だ。それ以上の人格は描かれないけれど。
 
 3. 街の上で
 

 
下北沢の古着屋で働く青(若葉竜也)。狭い行動範囲の中に行きつけのカフェや飲み屋や古本屋があって、いろんなタイプの女の子とそれぞれ違う人生の交わり方をして、飄々としてるからものすごいドラマがあるわけではないように見えると思っていたらラブコメ的爆笑クライマックスに収束する。
 
わざとインディーっぽい(?)演技はあまり得意じゃないけど、今年のラブコメでは一番面白かった。自分の街でもこんな映画を作ってくれたらいいのにと思いながら、あと英語字幕を想像しながら観た。今泉力哉監督作品もっと観ます。
 
  1. 7 Days(原題)

ジェイ&マーク・デュプラス兄弟プロデュース(マークは声だけちょっと出演)、ジェラルディン・ヴィスワナサンもプロデュース・主演。コロナを劇中の世界に反映させたラブコメは初めて観た。
 
親がセッティングした初デート直後に外出禁止令が出て交通もストップし、しばらく家に一緒にいるはめになったインド系のリタ(ジェラルディン・ヴィスワナサン)とラヴィ(カラン・ソニ)。撮影はほぼ家の中のみというミニマムなセッティングで、すぐにお互いだいぶ価値観が違うことが分かりリタは終始スウェットだしダラけ放題、ラヴィもただのいい人で、ときめきもコメディも足らなくてダレてしまった。
 
2人の価値観の違いはそのままで解決していないし、最初と最後クレジット後に出てくる実際の何組かのインド系カップルの馴れ初め話も往年のラブコメオマージュという以外に何が言いたいのかよくわからなかった。人間皆いろいろ違うけどコロナで人のありがたみを実感した、みたいなことか?それだったらもっとスピーディに遠隔だけで作ってロックダウン中に出すとかのほうが良かったんじゃ。
 
中途半端にボリウッドしか観たことない話とかをラヴィがするんだけど、いやそこはその後2人でボリウッド作品を一緒に観てリタも何コレ面白い!!てなるかハリウッド作品を一緒に観てラヴィが興奮する場面いるでしょ!!回収せい!!と思ってしまった。
 
似た設定では大雪で一夜の相手が二夜泊まる羽目になるマイルズ・テラー主演の『Two Night Stand(きみといた2日間)』のほうが好き。
 
  1. Breaking Fast(原題)

『Eternals(エターナルズ)』でファストスのパートナー役だったハーズ・スレイマン主演。ムスリムでゲイのモーは、ラマダン(日の出から日没まで食事を断ち、性的な欲なども断つ)に入る直前にカル(マイケル・キャシディ)と出会い、毎日イフタール(日中の断食を終えて食べる夕食)を一緒に作るように。
 
王子様的スマイルで積極アタックしてくるカルにドギマギする主人公の王道感とラマダンのシチュエーションとの組み合わせが巧い。いつも作る食事がとても美味しそうなので、もっとちゃんと映して解説してくれたらよかったのにと思う。信仰の敬虔度合いやセクシャリティの多様性は『Ramy(ラミー 自分探しの旅)』や『We Are Lady Parts』で観ていたのでこれが初めてではなかったけど、ほかにもあると知れてよかった。
 
しかしメイン2人の演技がとにかく棒でキツかった。2人ともちょこちょこ他作品にも出ている人なのに、cheesyすぎるセリフと演出のせいだろうか。ハーズ・スレイマンも、インスタとかを見るとめちゃくちゃセクシーでかっこいい人なのに、この作品では真面目な役のせいかスタイリングかいまいち魅力が出ていなかったように思う。
 
せっかくPoC(Person of Color、有色人種)が主人公なのに相手役が“ホットな白人”である必要はないという指摘もあり、確かにそうだなあとも思った。親の都合でエジプトに住んでいたことがあってアラビア語も話せるホットな白人とか都合良すぎるっちゃあ良すぎる。それで元から理解や関心があるから近づいてくるとも言えるけど。
 
  1. まともじゃないのは君も一緒

メイン2人が高校生と予備校講師(年齢不詳だがおそらく20代前半〜半ば)という時点で詰んでたのだけど評判が良くて観てしまった。
 
ストーカーチックになりヒヤヒヤドタバタ劇を繰り広げる王道展開には心躍る。しかし各自のキャラが表面的で、成田凌演じる康臣のおかしな時と急に流暢に話す時の都合が良すぎる。清原果耶演じる香住が同級生の親のスナック的なところで酔っ払ってないけど酔っ払いのようになってるときの演技はうるさくてきつかった。。
 
小泉孝太郎の役がただ胡散臭いだけでリアルさがないのもだめだった。まあそういうのに引っかかる未熟な高校生ということではあるんだろうけど、あの講演内容ではあんなに客は来ない。ラブコメだからって仕事のリアルさを軽視してはいけない。マルチの人たちだってもうちょっと話術はうまい。ロング・ショットみたいな方向(ナチスの会合とか)にぶっ飛ぶならぶっ飛べばいいんだけど。
 
ロケがだいたい横浜だったのでいろいろ場所がわかったのは楽しかった。
 
  1. Kiss Me Before It Blows Up(国境を越えてキスをして!)

SKIPシティ国際Dシネマ映画祭にて。テルアビブに住むユダヤ人のシーラ(モラン・ローゼンブラット)のもとに、ドイツ人のガールフレンド・マリア(ルイーゼ・ヴォルフラム)が越してくる。戦争の過去を許さないホロコースト生存者のシーラの祖母ベルタ(リヴカ・ミカエリ)はマリアに厳しく当たる一方、パレスチナ人のイブラヒム(サリーム・ダウ)と距離を縮める。
 
主人公たちが直面する困難がレズビアンであることに依らず宗教や歴史であるというのは、新しいようでやはりとても保守的に見えてしまう。彼女たちにとってはそれが日常なのかもしれないが、そこはどうしてもハリウッド目線で観てしまう。その分文化や細かい物語で魅せてほしかったが、イスラエルの生活の臨場感のようなものはあまり見えてこない。アホっぽくしてラブコメ感を出すのも無理やりに感じてしまった。
 
シーラの弟は2人のことを学校の課題でドキュメンタリーにしようと撮影しているが、マリアの両親に「娘に相手ができてどう思う?ユダヤ人でも?」みたいな際どいというか失礼な質問するのは相手が嫌な顔して終わりだし、シーラの父親(ジョン・キャロル・リンチ)が「異教徒には俺の孫娘は産ません!」と言っていたのも解決していない。
 
マリアの母親がホロコースト資料館に行って泣き出すのも大概だし、ベルタにマリア一家が謝罪すべきか否かみたいなすごい議論も有耶無耶になった。別にすべて白黒つける必要はないし、そもそもすごく難しい領域に突っ込んでいるのだけれど、高度な風刺・皮肉として処理できていたかというとそうではなかったと思うし、半端なままにはしないでほしい部分だったと思う。
 
あと序盤で「彼女ができたのね?」とベルタがシーラに聞く時字幕の「彼女」についてた傍点はいらなかった。
 
  1. Sul più bello(欲ばりなだけの恋じゃなくて)

 
Netflixイタリアオリジナル。レズビアンとゲイの2人のG.B.F.(男女両方パターンだから良し?)と暮らす難病持ちのマルタ(ルドヴィカ・フランチェスコーニ)。達成すべき目標を作ると良いと医者に言われ、恋人をつくることを決心する。持ち前の前向き精神で「どうせつくるなら一番のイケメンがいい」と、金持ちのボンボンでハンサムなアルトゥーロ(ジュゼッペ・マッジョ)にストーカーチックにアタックする。最初は横柄で鼻持ちならない彼も次第にマルタに惹かれていくが、幸せな交際は長くは続かず…。
 
ベタなシーンをとりあえずかき集めましたという感じでとっちらかってはいたし、ファッションとかはあと一歩だったけど、そのサービス精神と素直に惚れてくれる彼氏が大変よかった。
 
☑️子どもの頃のおままごと結婚式
☑️ポップなBGMでお着替えタイム
☑️閉店後のスーパーのキュートなデート
☑️距離を縮めるカラオケデート
☑️ロマンチックな夜景デート
 
これだけ詰め込んでくれる作品はなかなかない。
 
  1. Friendzone(いつだって友達止まり)

Netflixフランスオリジナル。いつもいい人に見られて女友達ばかり増えるチボー(ミカエル・リュミエール)。そんな女友達の1人のバチェロレッテパーティ会場で出会ったローズ(エヴァ・ダニーノ)に惚れ今度こそはと接近するも、あえなく親友ポジションになってしまう。友人たちの力を借りて恋愛対象として見てもらおうとイメチェンを試みるが…。
 
最初はチボーが本当にチャーミングで相手も可愛くてベタなお着替えタイムとかがあって良かったけど、友達から先に進むために友人たちから恋愛指南を受けてチボーが手慣れていく様がただキモかった。終盤は雑にまとめた。
 
それにしてもヒロインも女友達も出てくる女性が皆スーパーモデルのようだった。
 
  1. The Thing About Harry(原題)

 
ここ最近パッとしない『Grey's Anatomy(グレイズ・アナトミー)』の新インターンたちのなかでも愛されキャラのリーヴァイことジェイク・ボレッリ主演。堅実タイプのゲイ男性サムと交際の長続きしないパンセクシャル男性ハリー(ニコ・テルホ)がenemiesからfriendsになって…。
 
いろいろ雑なB級感はあるけどタイプの違う2人の組み合わせががめちゃくちゃ可愛かった。タイトルはもちろん、流れも往年のラブコメへのオマージュばっちり。
 
(以下ネタバレ)気になったのはサムが親友ステイジア(ブリット・バロン)とやたらベタベタしてたことと、それはまあ友だちのあり方も人それぞれだから良いとして、結局相手のパンセクシャル属性が「親友に手を出す」プロットにつながっていったこと。
 
私は親友とか兄弟に恋の相手を取られたり、親友同士や親友と兄弟が付き合って居心地が悪くなる人にいつも肩入れするけど、そういう主人公ってたいてい逆ギレされて責められるので、主人公があんまり悪者にならないところは大変優しかった。
 
あとカツラジョークだけはいただけんかったな。Fab5のカラモも出てた!
 
  1. Love Hard(ラブ・ハード)

 
Netflixオリジナル。自身のデート体験を記事にしてきたウェブライターのナタリー(ニーナ・ドブレフ)は、新たなネタ&相手を仕入れようとマッチングアプリ上のやりとりで意気投合した彼にサプライズで会いに行く。ところが相手はタグ(ダレン・バーネット)の写真を使ってなりすましていたジョシュ(ジミー・O・ヤン)で…。
 
我らが『The Vampire Diaries(ヴァンパイア・ダイアリーズ)』のニーナ・ドブレフと『Never Have I Ever(私の"初めて"日記)』で天然jockを見事に演じたダレン・バーネットの組み合わせ?!と思ったら、コメディアンのジミー・O・ヤンが相手役。お兄さん役にハリー・シャム・Jrと嬉しいキャスティングだけど、父親役は日系俳優と脇が甘い。
 
ルッキズムがある意味テーマのはずなのに、序盤からキウイアレルギーでナタリーの顔がパンパンに腫れるといういにしえのギャグでドン引きしてやめようかと思った。オチも結局「人は見た目によらない」「自分を偽るのはやめよう」くらいにしかなってなくて掘り下げが浅い。キャンドル作りに凝るジョシュのキャラクターはとても良いんだけど、2人ともわりとドライでときめきの積み上げが足りない。
 
そしてせっかくアジア系の相手役なのに、白人の主人公女性は美人とされてて相手は見た目では選ばれない設定というのはどうなんだろうか。もう1人のイケメンとされる男性もアジア系だからまだいいのかもだけど、彼はヨーロッパ系でもある。やっぱり今は理想論でも最初からどんな見た目の人も肯定されているような話を作ってほしいし、そうでなくルッキズムに踏み込むならもっと丁寧に描く覚悟が必要だと思う。
 
ハリー・シャム・Jrをゲスト的ポジションで遊ばせる前にもっと良い作品で主役にしてくれというのと、B級コメディの主人公をとりあえずBuzzFeed的なウェブメディアで働かせるのをやめてくれというのは声を大にして言いたい。
 
  1. Americanish(原題)

 
キャリア志向でトランプみたいな差別者の政治家をクライアントに持つマーケティング会社に勤めるサム(Aizzah Fatima)、医大志望の妹マリアム(Salena Qureshi)、パキスタン人の医者の結婚相手を探しに新たにアメリカにやってきたいとこのアミーラ(Shenaz Treasury)。サムは警官から好意を寄せられるが真剣交際には消極的、マリアムは学校の彼女がいるイケメンと仲良くなり、アミーラはお見合いを繰り返すがなかなか良い出会いがなく次第にキオスクの店主と距離を縮める。
 
パキスタン系のムスリム女性3人が主人公という設定はなかなか難しいのか、いい人に出会ったら"まず結婚"な流れがカルチャーギャップすぎてとても入り込めなかった。そのまますんなりいくわけではないんだけど、そこに疑問を持つわけでもなく。保守的な価値観と現代的価値観が混在した人間模様をもっとうまく活かせたと思う。
 
『Zoey's Extraordinary Playlist(ゾーイの超イケてるプレイリスト)』のお調子者トビンを演じたカピル・タルヴァルカルが爽やか2枚目な役でびっくり。たしかにかっこいい。
 
  1. A Castle For Christmas(クリスマス・キャッスル)

夫の浮気が原因で離婚し、ショックから(?)自分の小説の人気キャラクターを死なせたことで炎上中の人気ロマンス小説作家ソフィー(ブルック・シールズ)。静かな場所でリフレッシュしようとスコットランドに行く。そこで亡き父の思い出の地である城の窮地を知り城の購入を申し出るが、持ち主のマイルズ(ケイリー・エルウィス)が強情で…。
 
話は本当にいつものNetflixのテキトークオリティだけど、主人公たちが歳に似合わないほど若い見た目の人とかでもなく、だからといって中年の悩み等にフォーカスするでもなく、ただ恋愛していたのが良かった。王族と結婚するとかじゃなくて女性が「城を買う」だし。「城を買う」。
 
気になったのはスコットランドの解像度それでいいんかいというのと、唯一のゲイキャラクターが伴侶を亡くしていてしかもその悲しみで途中までしゃべらない設定だったところ。ターゲットである中年〜高齢者層に阿ってんのか?!とつっかかりたくなってしまった。
 
メイン2人以外は知らないキャストばかりかと思ったら特大ゲストもあり。
 
そして本編以上に気になってしまったのが、(以下ネタバレ)『スイッチング・プリンセス』のキャラクターがカメオ出演していたことで「ネトフリホリデーユニバース」に接続したこと。そろそろ架空の国の場所とかいろいろハッキリさせておかないと辻褄が合わないとツッコミも出始めている。ヴァネッサ・ハジェンズもいい加減に解放してあげてほしい。
 

  1. Single All The Way(シングル・オール・ザ・ウェイ)

 
たぶんNetflix初のゲイラブコメ。ピーター(マイケル・ユーリー)はクリスマスの帰省前に新しい恋人と別れてしまい、長年の親友&ルームメイトのニック(フィレモン・チェンバース)と帰省する。ピーターの母親(キャシー・ナジミー)は地元のジムのインストラクターのジェームズ(ルーク・マクファーレン)とピーターをくっつけようとするが、ほかの家族はピーターとニックが一緒になるべきだと主張しおせっかいを始める…。
 
主役2人はとにかく可愛く家族と仲が良いのも多幸感あって良かったが(マイクロアグレッションは健在だがハピエスト・ホリデーほど辛くない)、2人を周囲がくっつけようとするというメインの筋書きが私にはダメだった。「誰と誰が一緒になるべき」みたいな部分こそラブコメお得意のご都合主義を発揮して、同じ商品を手に取ろうとして手が重なったり昔の覚えてない運命の出会いが発覚したりアクシデントでキススレスレになったりして本人たちに気づかせれば良いのに、周りが押し付けるのはウザい以外の何物でもない。周囲の協力は2人が気づいてからで良い。
 
そのほか動物や子どもたちと接してるところを惚れるポイントにするというシーンが何度もありすぎたり、ブリトニーの曲を取ってつけたように踊っていたり、終始セリフがありすぎて間がまったくなかったり、気になる演出が多々。それと私はジェニファー・クーリッジのギャグキャラ的な使われ方の意味がほんとにわからないと改めて思った。なにが面白いんだあれ。
 
  1. Ancora più bello(もっと、欲ばりなだけの恋じゃなくて)

 
『Sul più bello(欲ばりなだけの恋じゃなくて)』まさかの続編が今日配信された。しかも前作の相手アルトゥーロとは別れている。新しい相手ガブリエルの魅力を伝えてもらわねばならないのに、親友ヤコポの気になる相手トマソ、親友フェデリカの新しい職場の人たち、おまけにアルトゥーロの元カノ(?)とその新しい彼氏の関係まで詰め込もうとしてもうわけがわからない。難病も消えたかと思いきや今度は移植手術するらしい。まだそれでも一応最後まで見届けるか〜と思っていたら、まさかのまさか「つ・づ・く」だ。続くな。
 
※以下12/25に追記
 
16. The Christmas Setup(原題)
 


昨年Netflixより一足先に出ていたLifetimeのゲイクリスマスラブコメ。主人公のヒューゴ(ベン・ルイス)はニューヨークで弁護士としてがんばっており、親友のマデリン(エレン・ウォン)と一緒にミルウォーキーの母親ケイト(フラン・ドレシャー)の元に帰省する。ケイトとマデリンが出かけている間にクリスマスツリーを配達しに来たのはヒューゴの元同級生のパトリック(ブレイク・リー)で…。

帰省したら母親に出会いを仕組まれるところまでは『シングル・オール・ザ・ウェイ』と一緒だけど、周りの押し付けがましさが控えめなだけでこれだけマシになるんだと思った。積極的に誘ってくれる爽やかなパトリックと真面目でいい人感溢れるヒューゴのカップルはかわいい。『スコット・ピルグリム』のエレン・ウォンが久しぶりに見れたのも嬉しかった。

よくあるおまけのようにサブキャラもついでにカップルにされるやつも、そっちがヘテロだと意味があるなと思った。しかもマデリンといい感じになる主人公の兄役俳優(チャド・コンネル)もゲイだ。

しかしとにかく展開は地味だ。2人に訪れる試練といえば主人公の転勤話くらいなのだが、そもそも主人公はニューヨークに住んでいるので後から転勤とか言われてもインパクトがない。加えて地元の古い駅舎の取り壊し問題や昔の街の立役者(?)がゲイだった!という歴史的発見、亡くなったお父さんとの思い出などが詰め込まれるのだが、そんなにてんこ盛りにするわりにはどれも盛り上がらず地味なまま(笑)。

 

17. A Christmas Number One(原題)
 


末期ガンの姪(ヘレナ・ゼンゲル)のために作ったクリスマスソングがレコード会社の目に留まり、ガン患者のためのチャリティ団体に売り上げを寄付することを条件にボーイバンド5togetherに曲を提供することにしたメタルバンドのベーシスト・ブレイク(イワン・リオン)。姪の希望でプロデュースも手がけるうちに、目の敵にしていたレコード会社の担当者メグ(フリーダ・ピントー)と親しくなるが…。

今どき病気の子どもを完全にプロットに利用するだけなのは腹が立つが、とにかくイワン・リオンの魅力が全開だ。子どもたちにせがまれメタルの曲を学校で演奏するイワン、姪と仲良く動画に映るイワン、やめようと誓ったone night standを繰り返ししまったという顔をするイワン、女性と一緒にはしゃぐイワン、姪の病状を聞き悲しみに暮れるイワン…。

楽曲はあまり印象には残らないものの、メタルバンドの曲、ボーイバンドの曲、メグの元カレの女たらしスター(リチャード・フリーシュマン)の曲とどれもいちいちそれっぽく作り込まれており、音楽映画としても十分楽しい。音楽はロビー・ウィリアムズと仕事をしているガイ・チャンバースが手がけている。ボーイバンドのメンバーたち女たらしスターも薄っぺらい役に徹していて、エンドクレジット後にはミュージックビデオのおまけもさんざん見せてくれる(笑)。
 

OP曲

 

5togetherの却下されたクリスマスソング

 
※番外編 Romantic Comedy/ロマンチック・コメディ
 

 
8月にBunkamuraの新サービス「APARTMENT by Bunkamura LE CINÉMA」のラインナップ第1弾として配信された『Romantic Comedy/ロマンティック・コメディ』。大量の映画をコラージュのように引用して気だるいナレーションを入れる構成がまるで青春映画分析ドキュメンタリー『Beyond Clueless(ビヨンド・クルーレス)』と一緒だと思ったら、その音楽担当のエリザベス・サンキーが監督だった。
 
こんな作品あったな、と懐かしんだりこんなのもあるのかーと情報源にしたりはできるけど、ズバリこのタイトルを付けるなら新旧の脚本家やラブコメ常連俳優のインタビューもほしいし、もっと楽しそうに語ってほしい(笑)。白人ヘテロ視点や女性のモノ化に疑問を持つ分析も特に新しくはないので物足りないし、そういう保守性に抗う作品も紹介しているので本当に自己完結している。それにそこで『God's Own Country(ゴッズ・オウン・カントリー)』とかコメディ以外を無理やり挟まずに、ドラマやもっとマイナーな作品でもちゃんといろんなラブコメを紹介するのに時間を割いてほしかった。