Coffee and Contemplation

海外ドラマや映画、使われている音楽のことなど。日本未公開作品も。

2023年に観た(ほぼ)新作ラブコメ22本の感想まとめ

1. Shotgun Wedding(ショットガン・ウェディング) JLo×ジョシュ・デュアメル。ぜんぶスベってた。レニー・クラヴィッツやらジェニファー・クーリッジやらダーシー・カーデンやら連れてきて面白くなると思ってやっただろうことぜんぶスベってた。ブラジル人…

About my rom-com zine “Watch Talk Love"/ラブコメZINE『Watch Talk Love』を発行しました

何かと「これくらいがちょうどいい」とか「頭空っぽにして楽しめる」とか言われがちなラブコメですが、未だに思いっきり有害な保守的規範を恥ずかしげもなく押し付けてくるようなものや、お決まりの型に沿って作れば何とかそれっぽくなるだろうと期待の低さ…

今年4-12月に観た(ほぼ)新作ラブコメ27本の感想まとめ

" data-en-clipboard="true"> Sempre più bello(ずっと、欲ばりなだけの恋じゃなくて) Netflixイタリアの"欲ばり"三部作最終章。もはやラブコメより難病メインで2作目と同じ感想としか言えない。なぜ観た私。 The Lost City(ザ・ロストシティ) 大物キャ…

ゲイラブコメ『Bros』について調べたこと

オールLGBTQキャスト(一部カメオを除く)でジャド・アパトープロデュースのゲイラブコメが作られるというニュースを見てからずっと楽しみにしていた映画『Bros』。先にディズニープラス・米Huluで配信された『Fire Island(ファイアー・アイランド)』もと…

高慢と偏見マラソン8作+1

Pride & Prejudice(プライドと偏見、2005年) 『ファイアー・アイランド』が『高慢と偏見』をベースにしているというので、あんまり覚えてないな…と2005年のジョー・ライト版を再見。キーラ・ナイトレイの勝ち気なエリザベスも、マシュー・マクファディンの…

『シャドウ・イン・クラウド』を観て母性とフェミニズムについて考えた話

※もう記事タイトルでネタバレしているようなものだけど、気になる方は観てからどうぞ クロエ・グレース・モレッツ主演のニュージーランド映画『Shadow in the Cloud(シャドウ・イン・クラウド)』を観た。予告編から明かされているが、クロエが空中で日本軍…

2022年1-3月に観た新作ラブコメ8本の感想まとめ

1.Book of Love(原題) サム・クラフリン演じるロマンス小説家ヘンリーの作品がメキシコでなぜか大ヒット。トークイベントツアーのために現地へ出向くと、ヒットの理由は翻訳家マリア(ベロニカ・エチェーギ)が勝手に内容を大幅にエロティックに改変した…

ここ一年ちょっとくらいで観た(ほぼ)新作ラブコメ17本の感想まとめ

Happiest Season(ハピエスト・ホリデー 私たちのカミングアウト) クリスマスに一緒に帰省してと恋人のハーパー(マッケンジー・デイビス)に頼まれてついて来たアビー(クリステン・スチュワート)だったが、ハーパーは家族にまだレズビアンであることを話…

『最後の決闘裁判』は誰のための物語なのか

" data-en-clipboard="true">映画をよく観る人であれば、感想について話すとき、好き嫌いは人それぞれで「だから面白い」と感じる人が多いと思う。私も嫌いな映画はとても多いけど、ただ「つまらない」と感じたものであれば、その作品を好きな人がどんなとこ…

『CODA(コーダ あいのうた)』について知っておきたいろう者の視点

Appleがサンダンス映画祭史上最高額の2500万ドルで配給権を獲得したシアン・ヘダー監督の『CODA(コーダ あいのうた)』。エミリア・ジョーンズの歌唱力、手話シーンの多さもさることながら、『Sing Street(シング・ストリート 未来へのうた)』のフェルデ…

『In The Heights(イン・ザ・ハイツ)』の保守的な家族観と画一的な女性像への抵抗感

※自分では重要でないと思う部分しかネタバレしていませんが、作品的にはわりとメインの部分なので気にする方は鑑賞後にどうぞ 近頃、男女が結婚しました/結婚して子どもができました、という従来的な恋愛観/家族観のエンディングがすっかりダメになった。…

ジェイミー・ドーナンの天然キャラがハマり役、隠れたWTF案件『Wild Mountain Thyme』

" data-en-clipboard="true">予告編が公開されるやいなや、エミリー・ブラントとジェイミー・ドーナンのオーバーなアイリッシュアクセントがバカにされ、いかにもアメリカ人から見たステレオタイプなアイルランドの設定とベタそうなストーリーで早くもネタ化…

実話殺人事件モノの新たな道筋を示した『The Investigation』

実際に起きた殺人事件を題材にした作品を観るのがやめられない。ここ最近だけでもデヴィッド・テナントが連続殺人犯を演じた『Des(デス)』、『White House Farm(ホワイトハウス・ファームの惨劇~バンバー家殺人事件~)』、ルーク・エヴァンス×キース・…

Black LivesではなくAll Livesの話になっている『Soul(ソウルフル・ワールド)』

私は普段から面白くなかった作品には面白くないとズバズバ言う方だが、周りの9割9分くらいがあまりに絶賛している作品の良さが分からなかった時は多少弱腰になる。昨年は映画『The Half Of It(ハーフ・オブ・イット:面白いのはこれから)』(Netflix)がそ…

エイサ・バターフィールド君の雰囲気映画量産問題

彼が出ているなら、きっと私好みの映画だろう。エイサ・バターフィールド君にはそう思わせる魅力がある。なんというか、長身だけどひょろっとして童顔で、優しそうな雰囲気を纏っていて、文化系少年をやらせたら抜群の安定感があるのだ。 しかし、私は製作者…

理想のラブコメを求めて

一年を振り返る頃には年初に観た作品のインパクトは随分薄れているものだが、それでも今年の映画鑑賞は強烈なスタートだったことは覚えている。私史上最強のラブコメ『Long Shot(ロング・ショット 僕と彼女のありえない恋)』に出会えたからだ。 ラブコメな…

優しいロックスター×アルフィー・アレンは最強の組み合わせ

ラブコメが好きで、いつかラブコメに出てほしいと思っている俳優が何人かいる。アルフィー・アレンもその一人だったが、ラブコメとはちょっと違うもののそれに限りなく近い作品にこんなに早く出てくれるとは思わなかった。ビーニー・フェルドスタイン主演『H…

自分たちのコミュニティは、自分たちで描く

" data-en-clipboard="true"> ロンドン時代、家のあるEalingと中心部の繁華街の間にあるNotting Hillは好きな街だった。アンティーク市やお洒落な街並み、ヒュー・グラントの本屋のNotting Hillだ。せっまい部屋に住んでいたのでお洒落な家具や置物など買え…

思い出をレトロカルチャーにする作品たち

80年代くらいのロックやダンスミュージックが好きだ。マッチングアプリのプロフィールに好きなバンドを書けと言われたら、The SmithsとかThe Cureと書くと思う。そういう音楽を使った『The Perks of Being a Wallflower(ウォールフラワー)』や『Sing Stree…

奴隷制度を終わらせることはできなかったが、奴隷制度を終わらせた戦争を始めた英雄

" data-en-clipboard="true">イーサン・ホーク肝入りのプロジェクトということで楽しみにしていた『The Good Lord Bird』(Showtime)。「狂人」として伝えられることが多いという奴隷制度廃止運動家ジョン・ブラウンを、彼が“解放”した元奴隷の少年ヘンリー…

女の体は女のもの

今年は妊娠・中絶を描いた映画を立て続けに観た。観たのはたまたまではあるが、この題材を扱った作品はとても多いらしい。中絶の権利が制限されてしまうかもしれない地域もあるのだから当然のことかもしれない。日本も産婦人科学会があれでは他人事ではない…

ハリウッドはアジア文化の軽視をやめろ、餅の声を聴くな

ニューヨークが舞台のNetflixシリーズをハリウッドと一緒くたにして良いのか分からないが、とにかく今回文句を言いたいのは『Dash & Lily(ダッシュ&リリー)』だ。Netflixといえば進歩的な作品が多い印象があるかもしれないが、実はあえて前時代的でベタな…

コロナのある世界のドラマの話

コロナのある世界を反映する作品がちょこちょこ出てきた時は、なんだかやるせない気持ちだった。フィクションの中くらい、現実逃避させてくれたっていいのに。でもいつまでもそうは言ってられない。感染対策をしなければ撮影がいつまでもできないし、特に時…

ウィル・フェレルの『ユーロビジョン歌合戦』はユーロビジョンを(あんまり)わかってない

Netflixで新作映画『ユーロビジョン歌合戦 〜ファイア・サーガ物語〜』が配信された。おバカコメディを量産してきたウィル・フェレルがレイチェル・マクアダムスと組んで、ABBAやセリーヌ・ディオンも輩出したヨーロッパの各国対抗ポップミュージックコンテ…

マイノリティ表象や性的搾取について考えるための配信系コンテンツ6選+1

色々排他的な言説を目にして怒っていたが、意見すべきところに意見してなお余った怒りを消化しようと、マイノリティ表象や性的搾取についてわりとド直球に考えさせる配信系コンテンツの紹介を一気に書いた。 AppleTV+は作品数が少ないのでまだ人気がないけど…

Cultural Representationについてつらつら考える

*English follows 「ホワイトウォッシュ」という言葉は一部の人にのみ知られている言葉かと思っていたが、ここ何年かでかなり市民権を得たようだ。とりわけそれを実感したのは『リトル・マーメイド』実写化キャスティングのニュースだった。 ただこれは大坂…

ゆとり世代だろうがなんだろうが、いつかは大人になるという話

※ドラマ『Girls』についてネタバレがあります 大好きな曲があって、その歌詞の意味や背負っている文化的背景などを改めて知ったとき、自分の経験や感覚との距離を感じて愕然とすることが、たまにある。 Tracy Chapmanの「Fast Car」は、物心ついたときには、…

「過保護のカホコ」に発達障害のレッテルを貼ることはつまらないことなのか

「過保護のカホコ」(日テレ)を観た。遊川和彦さん脚本のドラマは、「家政婦のミタ」と「女王の教室」を観ていて、どちらも主人公のキャラはちょっと行き過ぎじゃないかと思ったけど、そのおかげでどんどん引き込まれる展開があって、最後は温かい終わり方…